ストップ・ザ・高齢者に
まつわる消費者トラブル
高齢者が日々の暮らしで消費者トラブルに巻き込まれるいざこざは後を絶ちませんが、
コロナ禍で巣ごもり生活を余儀なくされる昨今、その危険性は高まるばかり。
「お金」「健康」「孤独」という高齢者の不安に付け入る手口は様々で、
年々巧妙さを増しています。
熊本県警察本部生活環境課の永山和幸警部補に現状と対策を伺いました。
熊本県警のシンボルマスコット
「ゆっぴー」
ストップ・ザ・高齢者に
まつわる消費者トラブル
高齢者が日々の暮らしで消費者トラブルに巻き込まれるいざこざは後を絶ちませんが、コロナ禍で巣ごもり生活を余儀なくされる昨今、その危険性は高まるばかり。「お金」「健康」「孤独」という高齢者の不安に付け入る手口は様々で、年々巧妙さを増しています。熊本県警察本部生活環境課の永山和幸警部補に現状と対策を伺いました。
シンボルマスコット
「ゆっぴー」
高齢者の日々の生活に
忍び寄る消費者トラブル
世の中には様々な消費者トラブルがあり、悪質業者は様々な手口で、皆さんの大切な財産を狙っています。
悪質業者の主な手口を紹介すると、まずは利殖勧誘。未公開株や社債、外国通貨、事業への出資などの投資話を装い、「元本は保証されます」「高配当確実です」「絶対に儲かります」といった言葉巧みなウソで多額の出資金をだまし取るというものです。令和元年中に警察が利殖勧誘で検挙した件数は全国で41事件、176人で、被害額は約1,040億円に上りますが、これは氷山の一角で、実際の被害はもっと大きいと思われます。
また、悪質商法に関する相談も多数寄せられています。高齢者を狙った布団や健康器具等の高額商品の“売り付け”などが代表的な手口ですが、他にもトラブルになりやすい手口がありますので紹介します。まずは点検商法。屋根瓦や水道管の破損、シロアリ被害などの無料点検を装って家の補修を持ちかけ、多額を請求するといったものです。
注文していない商品を一方的に送り付けてくる“送り付け商法”では、家族が買ったと思って代引きで支払ったり、不用意に開封して代金を請求されたりすることがあります。他にも「不要となった衣類を買い取る」などといった口実で訪問してきた業者が、売るつもりのなかった高価な貴金属などを不当に安値で買い取る“押し買い”の被害もあります。
さらに、ネットやスマホで高齢者が消費者トラブルに合う事案も増えています。特に多いのは、健康食品などの通信販売。「初回無料」「初回500円」などのキャッチコピーに惹かれて購入手続きをしたら、実は通販サイトに小さな文字で「定期購入である」「定期購入中は解約できない」旨が記載されていて、高額の代金を請求されたり解約に応じてもらえない、というようなケースです。
うまい話には乗らない!まずは誰かに相談を
令和元年中に全国の警察に寄せられた利殖勧誘事犯の相談件数は1,560件に上り、そのうち367件(23.5%)が65歳以上の高齢者からの相談でした。特定商取引等事犯の相談件数は7,113件にも及び、65歳以上の高齢者からの相談が3,149件(44.3%)と4割を超えます。明らかに高齢者がターゲットにされている実態が窺えます。
高齢者の消費者トラブルで悩ましいとされるのは、悪質業者による訪問販売等であったとしても違法ではないケースがあることです。例えば、高齢者が50万円の布団を買うなど悪質商法の被害に遭ったとおぼしきケースでも、本人が納得の上で購入し、法令上の手続きが正しく行われていれば、被害にすらなり得ません。点検商法の屋根瓦や水道管の破損もそれがウソであれば違法ですが、工事終了後では証明のしようがありません。だから、すぐに契約せず、まず金額を確かめて、それが妥当かどうかを落ち着いて考えることが大切です。
契約を結ぶのは簡単ですが、クーリングオフ制度があるとはいえ、それが困難なケースも多々あります。とにかく一人で決めずに、その場で契約しないということを心に留め、まずは誰かに相談してください。相談するのはまず家族でしょうが、消費生活センターや警察でも受け付けています。
警察では以下のように悪質商法の被害に遭わないためのアドバイスを「悪質業者は、う・そ・つ・き!」と標語化し、周知に努めています。
【う】うまい話を信用しない!
【そ】そうだんする!
【つ】つられて返事をしない!すぐに契約しない!
【き】きっぱり!はっきり!断る!
ぜひ、実践していただきたいものです。