自分自身の避難スイッチ
マイタイムラインで設定
高齢者の防災はお早めに
豪雨や台風、高潮、そして地震。熊本県はこれまで幾度も、大きな災害に見舞われてきました。
被害を最小限に抑えるには公助に頼るだけでなく、自らを守る自助や地域で助け合う共助も必要とされています。
県の危機管理防災課に熊本の災害の特長と、日頃からの備えや避難行動、防災のポイントを伺いました。
自分自身の避難スイッチ
マイタイムラインで設定
高齢者の防災はお早めに
豪雨や台風、高潮、そして地震。熊本県はこれまで幾度も、大きな災害に見舞われてきました。
被害を最小限に抑えるには公助に頼るだけでなく、自らを守る自助や地域で助け合う共助も必要とされています。
県の危機管理防災課に熊本の災害の特長と、日頃からの備えや避難行動、防災のポイントを伺いました。
県民の自助・共助を後押しする
「防災ハンドブック」
熊本県では大雨や集中豪雨が発生しやすく、年間降水量は東京都の約1.3倍、福岡県の約1.5倍に上ります(表参照)。しかもその約4割が6・7月の梅雨期に集中するため、この時期は土砂災害や洪水に注意が必要です。
また、近年は「令和2年7月豪雨」のように雨の降り方が“局地化・集中化・激甚化„している上、熊本県では昼間より夜間に強い雨が降ることが多いので、被害が大きくなることが懸念されます。
そこで推奨されている行動が、雨が強くなる前に明るいうちから非難する「予防的避難」です。この予防的避難を行うには、自分が逃げるべきタイミングをあらかじめ決めておくことが不可欠。「自分が助かるためにここで行動を起こす」という基準で、“避難スイッチ„とも呼ばれています。
県はこうした自助や地域ぐるみの共助を後押ししようと「防災ハンドブック」を作成。県民に配布しています。これには風水害や土砂災害だけでなく、地震、津波、高潮などの大きな災害から、一人一人が身を守るためになすべきことが記されています。
(くまもとマイタイムラインガイドブックP.3から転載)
防災行動計画「マイタイムライン」を
作成して危険を回避
防災ハンドブックは、災害の種類ごとにどのような備えが必要か、県民が各自でできる自助の取り組みは何かを整理した冊子です。多くの人の関心が高い風水害を例にとると、いつ避難するかで危険度は大きく左右されます。そこで、認識しておかなければならないのが「5段階の警戒レベル」。市町村などが発令する避難情報や気象庁が発表する防災気象情報などをレベル分けしたもので、段階ごとにとるべき行動が書かれています。一般的には警戒レベル3で「高齢者等避難」が発令され、避難に時間のかかる方(高齢者や障がい者、乳幼児等)とその支援者は避難行動が促されます。しかし、早く歩けない、避難場所まで遠い、ハザードマップで自宅の災害リスクが高いといった人は警戒レベル3の発令前に動くというように、年齢や健康状態、家族構成、地域のつながりに応じて行動をとることも大切です。
このように、自らの避難計画をあらかじめ立てておくことが重要で、それを具体化するのが「マイタイムライン」。“一人一人の防災行動計画„という意味で、マイタイムラインシートに記入して作成します。表側にはどこに誰といつ避難するか、裏側には想定する避難行動を明記。さらに、避難の準備として持ち出し品や備蓄品のリストにチェックを入れます。これを作成しておけば、そのまま災害時の自分自身の行動指針となるので心強いでしょう。マイタイムラインは専用ウェブサイトでも作成できます。
くまもとマイタイムラインシートの表側
※1 レベル5は市町村が災害の状況を確実に把握できるわけではないことから、必ず発令されるものではありません。※2 暴風特別警報、暴風警報、強風注意報については、参考として記載しています。5段階の警戒レベル(熊本県防災ハンドブックP.5から転載)
高齢者の方は普段から家族と防災計画を立てて、自分自身の“避難スイッチ„を明確にするマイタイムラインづくりは大切です。しかし、独居の高齢者の方が一人で作成するのはなかなか困難。そこで、地域の方やケアマネジャーなどに作成をサポートしてもらうのがいいでしょう。
また、的確な防災情報を得ることも大切で、県は防災情報メールサービスとホームページの「防災情報くまもと」「統合型防災情報システム」を通じて情報を発信しています。危機管理防災課では「高齢者の方もスマホを使いこなせる方はぜひメールサービスに登録していただきたい、支援が必要な一人暮らしの方には遠隔地のご家族がこのような情報を入手できるよう設定していただきたい」と話しています。