「同じことを何度も言う」「何をするのもおっくうになった」「物忘れがひどい」など、認知症の症状はさまざま。また、一口に「認知症」といっても「アルツハイマー病」「血管性認知症」「レビー小体型認知症」「前頭側頭葉変性症」など、実に100種類以上の原因疾患があります。残念ながら、認知症の多くは根治が望めませんが、中には治療可能なものや発症を予防できるものもあります。早期発見・早期診断をすることで、進行を遅らせたり、部分的に症状を改善することが可能なので、気になる症状があれば、すぐにかかりつけ医や専門機関に相談することが大切です。

 現在、熊本県においても、認知症の高齢者が増え続けており、最近の推計方法では、2025年には、10万人を超すと言われ、65歳以上の高齢者の5人に1人は認知症患者になると見込まれています。このような中、熊本県全体において行政、民間そして地域住民が一体となった認知症対策への取り組みが本格化しています。
 熊本県では、平成20年に「長寿を恐れない社会」(現在は「長寿を楽しむ社会」)をめざし、認知症対策を県の重点施策として位置付けて以来、医療・介護・地域、それぞれの支援体制を強化しています。医療面においては、「熊本モデル」と呼ばれる認知症の診療・治療体制を整えています。具体的には、認知症の早期発見・診療体制の充実、医療と介護の連携強化、専門医療相談の充実を図ることを目的に「認知症疾患医療センター」を県内10か所に整備。このことにより、県内のさまざまな地域で、充実した認知症ケアを受けることができるようになりました。また、地域のかかりつけ医に対して、認知症知識・技術習得のための研修を行ったり、「認知症サポート医」の養成、さらに市町村による認知症の疑いがある人への直接訪問なども始まりつつあり、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らせるよう取り組みがなされています。
 また、熊本県独自の取り組みとして、市町村から「認知症ケアアドバイザー」を講師として介護事業所に直接派遣することで、介護施設全体の質の向上に努めています。さらに、若年性認知症者(65歳未満で認知症を発症された方)対策として、平成25年度から、若年性認知症受け入れ可能な介護サービス事業所への研修会を実施したり、平成26年度からは、若年性認知症専門のコーディネーターを認知症コールセンターに配置するなどの取り組みを進めています。

 地域支援に関しては、「認知症サポーター」の養成を継続して行っています。熊本県は、同サポーターの養成率が5年連続で全国一位となっており、県民の9人に1人が「認知症サポーター」(平成26年12月末時点で、212366人)です。企業や小中学生など、さまざまな立場・年齢層の方たちが、積極的に認知症サポーターとして活動しています。また、より知識を深めたいという人たちのためのステップアップ研修会などもあり、サポーターが参加する傾聴ボランティアや 認知症カフェなど、地域全体で認知症を見守ろうとする取り組みが活発化しています。
 熊本県では「認知症コールセンター」(図2)を設置し、介護経験者や専門職がさまざまな悩み相談に応じています。認知症患者や、その家族からの気になる症状についての悩みや疑問などを、電話、メール、訪問相談などで受け付けており、介護家族の交流会なども開催しています。認知症のことで困ったときは、一人で抱え込まず、コールセンターを利用したり、市町村が設置する高齢者の相談窓口である地域包括支援センター、かかりつけ医などに気軽に相談してみましょう。

取材協力

熊本県健康福祉部長寿社会局認知症対策・地域ケア推進課)

認知症

大切なのは、早期発見・早期診断
認知症を理解し、みんなで支えあう会社

脳の病気によって記憶力や判断力が低下することで、日常生活に支障が出る認知症。
熊本県においても年々患者数が増えていることから、さまざまな対策がなされています。
今回は、気になる認知症について特集します。

認知症といっても、原因疾患や症状はさまざま

 「同じことを何度も言う」「何をするのもおっくうになった」「物忘れがひどい」など、認知症の症状はさまざま。また、一口に「認知症」といっても「アルツハイマー病」「血管性認知症」「レビー小体型認知症」「前頭側頭葉変性症」など、実に100種類以上の原因疾患があります。残念ながら、認知症の多くは根治が望めませんが、中には治療可能なものや発症を予防できるものもあります。早期発見・早期診断をすることで、進行を遅らせたり、部分的に症状を改善することが可能なので、気になる症状があれば、すぐにかかりつけ医や専門機関に相談することが大切です。

増えい続ける認知症に対して熊本で行われる取り組み

 現在、熊本県においても、認知症の高齢者が増え続けており、最近の推計方法では、2025年には、10万人を超すと言われ、65歳以上の高齢者の5人に1人は認知症患者になると見込まれています。このような中、熊本県全体において行政、民間そして地域住民が一体となった認知症対策への取り組みが本格化しています。
 熊本県では、平成20年に「長寿を恐れない社会」(現在は「長寿を楽しむ社会」)をめざし、認知症対策を県の重点施策として位置付けて以来、医療・介護・地域、それぞれの支援体制を強化しています。医療面においては、「熊本モデル」と呼ばれる認知症の診療・治療体制を整えています。具体的には、認知症の早期発見・診療体制の充実、医療と介護の連携強化、専門医療相談の充実を図ることを目的に「認知症疾患医療センター」を県内10か所に整備。このことにより、県内のさまざまな地域で、充実した認知症ケアを受けることができるようになりました。また、地域のかかりつけ医に対して、認知症知識・技術習得のための研修を行ったり、「認知症サポート医」の養成、さらに市町村による認知症の疑いがある人への直接訪問なども始まりつつあり、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らせるよう取り組みがなされています。
 また、熊本県独自の取り組みとして、市町村から「認知症ケアアドバイザー」を講師として介護事業所に直接派遣することで、介護施設全体の質の向上に努めています。さらに、若年性認知症者(65歳未満で認知症を発症された方)対策として、平成25年度から、若年性認知症受け入れ可能な介護サービス事業所への研修会を実施したり、平成26年度からは、若年性認知症専門のコーディネーターを認知症コールセンターに配置するなどの取り組みを進めています。

熊本県は、認知症サポーター養成率5年連続日本一

 地域支援に関しては、「認知症サポーター」の養成を継続して行っています。熊本県は、同サポーターの養成率が5年連続で全国一位となっており、県民の9人に1人が「認知症サポーター」(平成26年12月末時点で、212366人)です。企業や小中学生など、さまざまな立場・年齢層の方たちが、積極的に認知症サポーターとして活動しています。また、より知識を深めたいという人たちのためのステップアップ研修会などもあり、サポーターが参加する傾聴ボランティアや 認知症カフェなど、地域全体で認知症を見守ろうとする取り組みが活発化しています。
 熊本県では「認知症コールセンター」(図2)を設置し、介護経験者や専門職がさまざまな悩み相談に応じています。認知症患者や、その家族からの気になる症状についての悩みや疑問などを、電話、メール、訪問相談などで受け付けており、介護家族の交流会なども開催しています。認知症のことで困ったときは、一人で抱え込まず、コールセンターを利用したり、市町村が設置する高齢者の相談窓口である地域包括支援センター、かかりつけ医などに気軽に相談してみましょう。

取材協力

熊本県健康福祉部長寿社会局認知症対策・地域ケア推進課